脂質は敵?味方?アスリートにとっての脂肪の摂取
- 2018.09.25
- コラム
アスリートにとっての脂質の取り方
脂質というと、アスリートにとってネガティブなイメージを持つことが多いですが、脂質は三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)の1つで体には絶対必要な栄養素の1つです。体脂肪になるとか、生活習慣病の原因になるとかでとらない方がいいと思っている方は少なくないと思います。正しい部分もあるのですが、脂質が体から不足すると体温維持が出来なくなったり細胞が弱くなったりします。また、脂質も糖質やたんぱく質に並ぶエネルギー産生栄養素のひとつです。人間の体内では絶対つくられない必須脂肪酸も含まれているので一定量は必ず必要です。
しかし取りすぎは厳禁です。とりすぎると体脂肪に変わり運動パフォーマンスの低下につながる事になります。
大切なのは「何を」たべるか
まず脂質の主成分の脂肪酸を知り上手に選ぶことも大切です。
脂肪酸は大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
飽和脂肪酸の特徴
①常温で個体になる物が多い
②動物性油に多い
③炭素の二重結合がある
不飽和脂肪酸の特徴
①常温で液体
②植物性や魚類に多い
③炭素の二重結合がある
飽和脂肪酸は肉の脂身やバターなどの動物性油で増えすぎると脂肪として体につくだけではなく、動脈硬化などの原因になります。タンパク質を取りたいために肉ばかりを選ぶと飽和脂肪酸の取りすぎになりますので気をつけなければなりません。アスリートにとって肉は重要なタンパク源になりますが、肉ばかり食べると脂質過多の食事になりますので気をつけなければなりません。
これに対して不飽和脂肪酸は植物油、魚に含まれている脂質の事です。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸は血液をサラサラにしたり、脳の機能を活性化したりするなど健康にいいことで知られています。
このように脂質も種類によって効果が全く違います。選んでとりましょう。かといってとりすぎは禁物です。
食品は?
不飽和脂肪酸は、オリーブオイルや魚油に多く含まれます。不飽和脂肪酸は化学式の構造により、「n-3系」、「n-6系」、「n-9系」に分かれ、それぞれに効果が異なります。
このあたりは細かくしていくとややこしくなっていきますので、参考までにお読みください。
n-3系・・・中性脂肪を減らし、動脈硬化などの生活習慣病防止に役立つ善玉(HDL)コレステロールを増やしたたり、動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。
→しそ油、えごま油、なたね油、青魚など
n-6系・・・コレステロールを下げる働きがありますが、摂りすぎると善玉(HDL)コレステロールも下げたり、動脈硬化、アレルギー疾患の悪化などが引き起こされる可能性があります。
→紅花油、ひまわり油、大豆油など
n-9系・・・動脈硬化の原因となる悪玉(LDL)コレステロールを減らし、動脈硬化防止に役立つ善玉(HDL)コレステロールはそのまま維持させる性質があります。また多価不飽和脂肪酸より酸化されにくい性質を持ちます。
→オリーブオイル、アーモンド、アボカドなど
まとめ
アスリートにとって脂肪は非常に難しくとられがちな栄養素です。しかし、必ず必要な栄養素のひとつです。減量が厳しいスポーツの長距離、体操、新体操などの特に女性のアスリートには極端に脂肪の節制をされるケースがあります。
脂肪をまったくとらなくなると女性ホルモンが生産されなくなり月経が止まることがあります。月経が止まると骨の代謝が悪くなり、疲労骨折などの原因になったり、将来に影響を与えたりすることがあります。
もちろん取りすぎはよくないです。
例えば森のバターといわれるアボカドなども良質な脂質の塊で、ビタミンなども豊富です。その代り脂質も高いので、一個でご飯大盛り分(262キロカロリー)だといわれております。他の食品との兼ね合いも考え半分ぐらいが望ましいと考えられます。
摂取する食品さえ気をつければコントロールできる栄養素になりますのでおいしく、楽しくとりましょう!
- 脂肪をまったくとらないのは絶対ダメ
- 摂るなら植物性か魚で摂る
- だからといって摂りすぎは厳禁
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